店に入る
注文をする、いつもの。
豆を挽く音、コーヒーの香り。
氷がカラカラ、音を立てる。
ドリッパーから湯気が、立ち込める。
ポタポタと、サーバーに滴る。
たっぷりの氷に、一気に流し入れる。
キンキンに冷えた、いつもの、出来上がり。
乾いた体に染みていく、一口目。
疲れた心に沁みていく、二口目。
火照った喉を冷ましていく、三口目と立て続けに四口目。
会話を弾ませながら、六口目と七口目。
グラスの中で氷が崩れる音のする、八口目。
終わりに一口、九口目。
名残惜しくズズズと音を立てる、十口目。
静かな時間が流れる店内。
お会計を済ませて一言目。
「ご馳走様、また来ます。」
また来ます…口には出さずに二言目。
店を出て一歩踏み出す。
明日もがんばろ、と口の中で三言目。
心なしか来た時よりも足取りは軽く、少し、前向きになれた気がした。
知り合いの人(写真を撮っています。珈琲はいつものところです)