遠出をする時はもっぱら高速道路を利用します。
その方が早いことは当然のこと、特に夜に高速道路を運転するといろんなことを思い出します。
普段は頭の奥の方に仕舞い込んである記憶や景色がぼんやりと浮かんでくるのです。
次々に現れては流れていく光を見ると、久しく顔を見ていない友人や、ついに果たされることのなかった約束、あの日の失敗をも思い出して、車の中、1人で恥ずかしくなってしまうのです。
まだほんの少ししか生きていない人生だけれども、思い出しきれない思い出が、テールランプの赤い光に乗って流れている様です。
不意に追越車線で私を追い抜いていった赤いランプの軌跡は、ともすれば私よりも早く、もしかしたら大切にしたい思い出も、後ろに後ろに流れてしまっているのかも知れません。
たとえテールランプに流れていくとしても、ゆっくりでも良いから、これからもまだまだ思い出しきれない程の思い出と、たまに顔を赤らめたい出来事をたくさん積み重ねていきたいと思い、私はちょっとだけアクセルを、緩めるのです。
知り合いの人(写真を撮っています。常に安全運転です。)